ilyaのノート

いつかどこかでだれかのために。

「児童ポルノ禁止法改正を考える院内集会」@参議院議員会館(2011年8月25日)をめぐって 〔2011.8〕

▽「児童ポルノ禁止法改正を考える院内集会」。2011年8月25日(木) 10:30-12:00(開場10:15)。会場: 参議院議員会館 B107会議室(定員78名)。
 →▼国会議事堂案内 国会周辺案内|参議院ホームページ http://www.sangiin.go.jp/japanese/taiken/shuhen/shuhen.html
 →▼『児童ポルノ禁止法改正を考える院内集会』開催のお知らせ|コンテンツ文化研究会 http://icc-japan.blogspot.com/2011/08/blog-post.html
「プログラム 1,児童ポルノ法改正と表現の自由 田島泰彦氏(上智大学文学部新聞学科教授) /2,子どもの性的搾取と人権救済活動の現場から 坪井節子氏(弁護士・カリヨン子どもセンター理事長) / 3,児童ポルノブロッキングと通信の秘密について 立石 聡明氏(日本インターネットプロバイダー協会副会長)」
「<事前申し込みが必要です> なお、当集会につきましては、メールかFAXにて必ず事前申し込みを行っていただきますようお願いいたします。(事前申し込みをされていない方はご入場いただけません。)/ また、定員(78名)になり次第、受付を締め切らせていただきますので、なるべくお早めにお申し込みください。」


▽レポート類。
 →▼УТП Зона9〔499-500〕|Зона http://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/news/410/1261039430/499
 →▼院内集会メモ1|表現規制問題の個人的メモ http://hyougenkiseimondai.seesaa.net/article/222536861.html
 →▼院内集会メモ|「反ヲタク国会議員リスト」メモ http://d.hatena.ne.jp/killtheassholes/20110825#p4
 →▼コンテンツ文化研究会による8/25院内集会|カルトvsオタクのハルマゲドン/カマヤンの虚業日記 http://d.hatena.ne.jp/kamayan/20110826
 →▼或る日の院内集会〔2011-08-25〕 - Togetter http://togetter.com/li/179944


▽以下、集会および「表現規制反対派」なるものをめぐるノート。


参院議員会館。でかいなあ…。〔2011/08/25〕
▽入館には通行証が必要。会館内にはセブンイレブンが出店している。地下鉄有楽町線国会議事堂前駅1番出口すぐ。
▽田島泰彦氏(上智大学)講演、退屈。表現の自由至上主義論からなす批判。 というか、こういう語り口をとるなら、表現の自由を守るために「児童買春、児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律」は廃止すべき、とでも言えばよいのではないか、とは思う。 いや、とても大切な視点だけれども。でも飽きたよ。
▽坪井節子氏(カリヨン子どもセンター)講演。強い。現場の怒り。質が違う。 シェルター活動、7年の苦労のすえ厚労省認可(国の制度に組み入れられたという)。課題:性虐待や売買春により精神を病んだ子の居場所がない(家出している子どもたちは精神科等に入院できないらしい)。
▽立石聡明氏(インターネットプロバイダー協会)講演。 明快。国内サイトは対応できる。海外サイトにはブロッキング対応。 ただしオーバーブロッキングの危険が生じる。日本では、ISP(Internet Service Provider)の数の圧倒的多さにより、結果的にweb統制が難しい構造になっている。
▽質疑応答、永山薫さん、よい質問であった。 司会者、訓練不足。発音が不明瞭、聞き取りにくい。議員を紹介されても誰だかよくわからぬ。


QT @mo****: 院内集会に参加されてるのですね。私も前日夕方にメールで申し込みしたのですが、遅すぎたのか音沙汰なしでした。今度内容について教えてください。

▽ありゃ。私も前日夕刻にエントリーしたんだ。返事来たよ。 声かけてくれれば確認したのに!
▽内容。また今度、飲みながらでも。 とりあえず、田島先生は退屈。本が退屈だったけど、しゃべりも退屈…。もちろん表現の自由を言いつのる役も大切ではあるけれど。 カリヨンの人〔坪井節子氏〕はさすがに現場の迫力あり。 ISPの人は明快で悪くナシ。なお、質疑応答で部下の人が登場。その人がGJ!
▽議員コメント。 質疑で、「こういう改正の裏には権力側の何か意図があるんじゃないか?」との疑いに対して民主党議員が、「関わってる人たちは自公議員も含めてみんな「善意」なんです、裏の意図とかあるならむしろラク、善意だから戦いづらいんです…」と。警察陰謀論とかに乗らないなら当たり前の話だね。
▽議員コメント。 民主党WTの単純所持案(没バージョン)は、日弁連の「単純所持は禁止するが罰則は設けない」提言を受け、その方式なら警察による捜査等の対象にはできない(濫用できない)からOKなのではないか、という発想で検討されたと。最終的には、将来的に「やはり罰則が必要だ!」という話になってしまう危険性から没に。
▽単純所持バージョンの説明をずいぶん熱心にしてたのは、web上にある、「民主党は単純所持規制バージョンも作ってやがった!信用ならねえ!!」みたいな話への対応なんだろうと思って聞いてた。 なお議員でコメントあったのは、民主党議員2名、共産党の女性議員、中野区議会議員の方、かな。


QT @_mo***: あれま、yahooメールだったのがまずかったのかな…。質疑応答でGJだった部下の人って****兄さんの部下って事?
QT @_mo***: うーむ、私は16時40分ごろにメール出してます。迷惑メールフォルダに入っちゃったのかな?

Yahoo!アドレスだとスパム分類されちゃったりするかも…。
▽「部下の人」は、ISPの講演者の部下です〔、私の部下ではなく〕。混乱させてごめん。永山〔薫〕さんの質問(ブロッキングやその対象がどうやって決められてるか見えないのだが…)を受けて、客席から生々しい現場の話を提供してくれた。

▽昨日の院内集会。未確認なのだけど、事実ならなんだそれ… と思ったこと。 最初は公明党議員の方も会場にいたのだけど、中途でコメントをした民主党議員の言い様に怒って退場した、らしい。 あの程度で退場する短気さもアレだが、それ以上に民主党議員の幼稚な振舞は恕しがたい。
▽あ、未確認というのは本当に未確認。 質疑応答後、閉会前に参加した議員がコメントする時間があったのだけと、その時に、田島〔泰彦〕さんの報告後に一度コメントした議員さんが、私のあの発言で公明党議員さんが怒って退場しちゃいましたが、みたいな感じのことを喋ってて。さすがに聞き誤りかもしれない。


QT @_mo***: 途中まで公明党議員がいたというのはレポで読みました。怒って帰るきっかけになったとされる民主党議員の発言ってどんなのだったんですか? まさか「相手も善意だから戦いづらい」とか…?(汗

▽おお、レポートあるんだ? ご教示乞う。
▽退室のきっかけになった発言、それではないです多分(あれは質疑応答の時に出てたもの)。が、問題の発言は思い出せず…。ごめん。 彼らの話は、民主党の勉強会でもないのに民主党の集会みたいな雰囲気を醸成したがってる発言だよなあ…、としらけて聞いてたので。
▽〔追記: 「相手(単純所持規制推進派)も善意」、というのは、質問で提起された規制推進派の“裏の意図”を否定する文脈で出ており、むしろ公明党議員へのフォローになっている。〕


▽ちなみに田島〔泰彦〕さんの民主党WT案の診断は、自公案より良いとしながら、前回最終的に廃案となった自公民主すりあわせ案に近く、ここから自公とのすりあわせが行われると、前回より退歩する可能性が否めないのではないか、といった感触だったと思う。このへんの政治的かけひきは難しい。
▽それは改正慎重派議員のコメントを聞けば明快な話で、曰く、改正に抵抗しても実際問題、「票」にはならない(これは現実が証明している)。むしろ改正にこうやって慎重に対していると、選挙では、お前は児童ポルノを許容するのか、と地元でのマイナスイメージのほうが大きい。また、党内でも関心を持つ議員自体が少ない。
▽選挙にはむしろマイナスで、慎重にと主張する議員も少ないとなれば、改正案にとくに関心を持たない(どちらでもよい)議員にとっては、そもそも党派全体が児童ポルノを許容すると見られることのほうが損失。 するとずっと同じ反対を繰り返し続けるのはつらい。すりあわせる方向に向かわざるをえない。


QT @_mo***: レポはこちら http://otakurevolution.blog17.fc2.com/blog-entry-1730.html 「規制推進派も素朴な善意から動いている」という本多議員の発言も載ってますね。この本多議員の話の最中に公明党議員が退席したとのことですが、それについては詳しく触れていませんね。

▽ご教示多謝。会場で聞き逃した内容もちらほら(ノートPC遣い二人以上の近くには座らぬほうがよい。打鍵音アンサンブルに意識が持ってかれるよ…)
▽レポ、いろんな意味で上手いまとめだね。ぐだぐだだった質疑応答が、なんかフツーに成立してる(笑) しかも明白な嘘は書いてない。
▽しかし、公明党議員退席の話、聞き誤りではなかったか…。 本多議員?は複数回発言してて、退室の話をしたのは閉会に近い発言。私がぼんやり聞いてた感じだと、彼が最初に発言した際(田島報告のあと)に怒った顔をして帰ってしまった、と聞こえて、ふざけんな、謝って引き留めろよ、と思ったのですよ。
▽あ、リンク先にあるGTOさんの話題はたしかにISPの部下の人の話で名前をぼかしながら出てた。
ISPの部下の人の警察主導のブロッキング関係委員会の現場〔警察主導の総合セキュリティ対策会議〕の話は興味深かった。「公開」というカードは警察にとって強い抵抗感がある、という証言(ブロッキング要請に対してISPが抵抗の末に「わかりました。ブロックしましょう。ただし、警察からのこれこれの要請でブロックしたとすべて公表します」と応じたところ、警察の主張は急激に弱まったとのこと)。あと警察には情報をコントロールする力を握っておきたいという意識が相当に強い、と。


QT @_mo***: これが現実ですよね。議員としては何の得にもならない。報道も単純所持規制賛成一辺倒ですし。 →党派全体が児童ポルノを許容すると見られることのほうが損失。 するとずっと同じ反対を繰り返し続けるのはつらい。すりあわせる方向に向かう。

▽うん。いわゆる表現規制反対派が現実に票になってない、と議員自身が認識してるしね。〔追記: もちろんそれ(票にならない)が「事実」かどうかはわからない。決定的に重要なのはそう認識されていること、だ。〕
▽また、ほとんどの人が無関心というのは、児童ポルノ禁止法制定に尽力した方々も言ってたこと。児童買春被害や児童ポルノ被害をなんとかしなくちゃなんて思って真剣に動く人は議員にも、国民にもほとんどいなかった、と。


▽あ。レポ、坪井〔節子〕さんの報告部分。あの人は「表現の自由を侵害することには反対だ」なんて単純素朴なことは言ってない。「(被害の根絶に向けて進むべきだと思いながらも)表現の自由という問題の前では立ち止まらざるをえない」、というのが私の立場です、といった言い方。
▽あの発言を「表現の自由を侵害するのには反対だ」と要約してしまう感覚は度しがたい。 あの人は実際に現場にいる以上、表現の自由を絶対視し不可侵とすることが、目の前の被害者児童に向かって、「表現の自由優先だからあなたのダメージは我慢しろ(あなたは死になさい)」と言うことになりうるのだと分かってる人なのだから。
▽あ、ごめん間違えた、質疑応答のところだったよ。 「それだけで子供たちは救われる」云々のあたりも要約とはいえひどいな…。とりあえず、坪井さんはそんな薄っぺらい話はしていない、と考えといたほうが間違いがないと思われる。
▽〔追記: 表現の自由への言及は、報告の時と質疑応答の際、二度なされた可能性もある。質疑応答では、実際に「反対です」と発話した可能性もなくはない。とはいえ、坪井発言の真意は上のように解釈するのが妥当と考える。また以下も参照。〕


QT @_mo***: こちらのレポートの方がましなのかな…? http://hyougenkiseimondai.seesaa.net/article/222536861.html 坪井さんの質疑応答の所は端折られているのか、こちらには表現の自由侵害には反対云々という記述はありませんが。
QT @_mo***: この もずくさんのリポートには本多議員のお話がもう少し詳しく載っていますね。もっとも公明党議員がキレる理由は分からないままですが。強いて言えば「今の国会で自公案を成立させないためにも(略)」あたりかな。この文言どおりだと、すり合わせる意志ゼロと聞こえるから。

▽多謝! うん、こちらのほうが発言は正確に伝えてるね(脱漏もある)。 ただ、前のレポもよくできた要約だと思うよ。書いた人は頭よいと思う。ただ、自己のバイアスの相対化が不足してる。(「表現規制反対派の立場」っていう強いバイアスをかけて〔他人の〕発言を解釈してしまっている自覚が薄い。)
▽あ、二つのレポで面白かったのは、質疑応答での坪井〔節子〕さん発言〔の記述〕とか。 私の体感では坪井発言は、「私には何もできない」って無力感を噛み締める、そこを見失わない点に価値があり、かつ発言分量も占めてたのだけど、どちらのレポもその後の「救える」点をクローズアップするのね。


QT @_mo***: 直接聴いたわけでもないのにこう言うとアレですが、現場にいて初めて実感する感情を、外野の人は定型的なストーリ(苦難を乗り越えて大団円!)に落とし込みがちです。私も仕事柄ついやってしまうことがあります。

▽あ、なるほど。ストーリーに落とし込んでるのかあれは。それなら理解はできる。 たとえば続報してくれたレポにある、被害児童支援に携わる大人はいきいきしてる云々も、たしかに〔坪井さんは〕そう言ってるのだけど、あのレポのニュアンスとは違ってたと思う。
▽そもそも質問がぐだぐだだで(MY氏の表現を借りれば質問ではなく「発表」の類)、坪井さんよく捌いたと思うのだけど、私にはまず、被害児童に対して簡単にインスタントに「何かできる」って考えるような「無知」と「傲慢」にそれこそ冷や水浴びせてるようにも聞こえた。
▽「支援している大人はいきいき」というのは、だから、大人が無力でも子どもと共にいることで生じるかもしれない、傷ついた子ども達の回復過程から得る、極言すれば不当利益、といった響きももつように思われた。少くとも、だから素晴らしい、といった言葉として受け取ってはならぬように思われる。
▽〔追記: 同様に先のレポにある「被害児童を一人にしないようにしている。それだけで子どもたちは救われる」もニュアンスが変わってしまっている。坪井発言のアクセントは、「(大人は)それだけしかできない」という点にある。〕


▽しかし、公明党の議員さんがキレたというか怒って退席した原因はよくわからないねえ。 まあ、「怒った顔で」というのも民主党議員がそう言ってただけだから、単に集会の政治性やクオリティに呆れての退席かもしれない。(坪井報告は聞いて貰うべきだったと思うけど、会場にいてくれたかどうか?)


QT @_mo***: そこはやはり****兄が、生っちょろい集会に冷や水を浴びせるような質問をしてですね。まあ、質疑応答の時に公明党の議員さんは既にいなかったでしょうがw →単に集会の政治性やクオリティに呆れての退席かもしれない。(坪井報告は聞いて貰うべきだったと思うけど、会場にいてくれたかどうか)

冷や水質問……「この集会は民主党の応援集会なのでしょうか?」的な? 「表現の自由の侵害は許さない!は威勢よくていいですけど、坪井さんがおっしゃるように『先にやることがある!』に同意するならば、そのために何ができるかを議論しなくていいんですか?」 とか?

▽なお、私が質問しようと思って、取り下げた(回答者のバランス上)のは、「児童買春、児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律」が存在することで助けられている被害者はどの程度いるか? とくに第15条・16条は実効をあげているのか? だったよ。
児童ポルノ禁止法、第15条、第16条──「(心身に有害な影響を受けた児童の保護) 第十五条 関係行政機関は、児童買春の相手方となったこと、児童ポルノに描写されたこと等により心身に有害な影響を受けた児童に対し、相互に連携を図りつつ、その心身の状況、その置かれている環境等に応じ、当該児童がその受けた影響から身体的及び心理的に回復し、個人の尊厳を保って成長することができるよう、相談、指導、一時保護、施設への入所その他の必要な保護のための措置を適切に講ずるものとする。/ 2 関係行政機関は、前項の措置を講ずる場合において、同項の児童の保護のため必要があると認めるときは、その保護者に対し、相談、指導その他の措置を講ずるものとする。」 「(心身に有害な影響を受けた児童の保護のための体制の整備) 第十六条 国及び地方公共団体は、児童買春の相手方となったこと、児童ポルノに描写されたこと等により心身に有害な影響を受けた児童について専門的知識に基づく保護を適切に行うことができるよう、これらの児童の保護に関する調査研究の推進、これらの児童の保護を行う者の資質の向上、これらの児童が緊急に保護を必要とする場合における関係機関の連携協力体制の強化、これらの児童の保護を行う民間の団体との連携協力体制の整備等必要な体制の整備に努めるものとする。」


▽状況が改正案反対派にとって不利なのは、ストレートにいえば、〔児童買春・児童ポルノ禁止法に対する〕いわゆる表現規制反対論が政治的に無効なのと(撤退戦でしかないのと)同じで、改正反対を唱える側も〔かれらが批判するところの “児童ポルノ禁止法改正派” “表現規制推進派” と同じく〕《被害児童のことなんか考えちゃいない》点で、単純所持云々の改正案を阻止し、対抗したければ、むしろ本来あるべき被害児童のための改正案を示し、実際に被害者を守ってみせること、なんだと思う。
▽それは一部の人が唱え、いわゆる規制反対派が鸚鵡のように繰り返す「厚労省管轄に移すべきだ」というのと同じものでもよい。が、あれも改正案反対のために高唱されるだけで、実現のためのロードマップが真剣に描かれるのを、実現のために起こされるアクションを、見たことがない。そんなんであの「現実」に勝てるわけない。
▽いわゆる表現規制反対派が「ヤツら、本当は子どものことなんて考えてないんだ!」と嬉しそうに攻撃するいわゆる規制推進派はかつて、議会と国民のまさに無関心の中を戦い抜き、ゼロから「児童買春、児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律」を生みだした。甘く見るなよ、という。


QT @_mo***: ああ、素晴らしい。もし最初に指名されたとしたら、それくらい挑発してもいい。 →「この集会は民主党の応援集会なのでしょうか?」的な? 「表現の自由の侵害は許さない!は威勢よくていいですけど、坪井さんがおっしゃるように『先にやることがある!』に同意するならば、そのために何ができるかを議論しなくていいんですか?」とか?

▽ひー。この国では空気を読まない発言は罪悪とみなされますぞ。 って、私がしようとしてた質問も含意は同じだけどさ。迂回と婉曲とオブラート、大切。あと、話のとりあえずの落とし所も。


QT @_mo***: そういう真意があったかもしれない発言かぁ。それは重い、けど、だとしたら坪井さん大丈夫かしら? →「支援している大人はいきいき」というのは、だから、大人が無力でも共にいることで生じるかもしれない、傷ついた子ども達の回復過程から得る、極言すれば不当利益、といった響きももつように思われた。少くとも、だから素晴らしい、といった言葉として受け取ってはならぬように思われる

▽あくまで私の「解釈」だけどね。挙手者〔山本夜羽音氏〕が、「〔東日本大震災〕被災地の児童相談所か何かを実地に訪れて、ぜんぜん手が届いてない! 何かしなくていいのか!」 と涙ぐんで発表したのに対して、「私たち大人は〔被害児童の前で〕根本的に無力です。何もできない」と厳しく前置きしてから話したのだから、そう外れてもいないと思う。
▽坪井さんご自身はたぶん大丈夫。ずっとそれと戦ってきてる人だしね。とてもきつい場所だとは思うけれど。 あの人の言葉の力は、何年も被害児童のために尽力してきてなお、自分たちの力のなさを、目の前に実在する被害児童ひとりひとりに対したときの本質的な無力を直視してるところから来てる。自分たちを過大評価していない。
▽でも、あの二つのレポではその決定的に重要な部分が抜け落ちてしまう。「被害児童に私たちは本質的には何もできない、大人にできることなんてこれっぽっちなんです、でもそれを全力でやるしかありません」という話が、「大人にはこれができます!」という話になってしまう。
▽抜け落ちることで、_mo****兄のいう収まりのいいストーリーになる。 で、私が坪井さんの応答を聞いていて感じた、ある種の居心地のわるさは消える。 ──何とかすべきって気持ちは嬉しいし私も同感です、でもそんな簡単に何かできる、解決するようなもんじゃないんですよ、そして(坪井さんはそんなことを言うつもりはさらさらないだろうけど)、本当に考えるべきことに目を向けない、被害児童の現実に目を向けない、そういう議論の「場」を作り上げてきたのが規制推進/反対両派ではないのか、問題を「表現の自由」に切り詰める点において、児童買春・児童ポルノ禁止法制定後10年以上にわたってお前たちは共犯関係にあるのではないのか? と。


QT @_mo***: 私が「坪井さん大丈夫かしら」といったのは、現状が過酷すぎて心が弱っているのじゃないか、と勝手に心配したものでした。詳しく書いていただくと杞憂というか余計なお世話レベルだなぁと反省&安心しました。

QT @_mo***: 規制反対派が示すべき「本来あるべき被害児童のための改正案」はもう少し調べてみると面白いかも。結構いいこと考えている人は居ると思うので、あとはそれを政党にプッシュできる態勢を作ればあるいは…。 →QT 単純所持云々の改正案を阻止し、対抗したければ、むしろ本来あるべき被害児童のための改正案を示すことなんだと思う。

▽うん、同感。質の高いかなりの量の指摘がすでになされてると思う、実際。
▽でも、「表現の自由」なる論点でしか問題を見ないいわゆる表現規制反対派によって、そうした指摘は児童ポルノ禁止法やその改正案を非難する武器としてその時々に都合よく呼び出され、消費され、断片的なまま打ち捨てられている。
▽そういう知見を丹念に拾い集めて、被害児童の救済と児童虐待防止の観点から総合すること。それを実現するためのアクションを起こすこと。それによって論点を、問題そのものを更新してしまうこと。 (それは極論すればいったん「表現の自由」なる論点を捨てさること、でさえある。)


▽結局私はずっと同じことしか言ってない(し言うだけな)のだけど、こういう見通しが、今はどこかで響く可能性を感じる。「実在児童の人権擁護基金http://jitsuzai-jinken.cocolog-nifty.com/ は、まさにそういうものだった。もちろんあれを政治ごっこの「武器」の一つとしか見られない人たちも多いけれど。
▽そう、偽悪的に言うなら、むしろ撤退戦を脱する可能性、逆転の可能性はあそこ(から展開する思考)にしかない、と極言すべきなんだと思う。10年以上負け続けて、なおそれに気づかないのは政治的センスの欠落と言ってよい。

▽だから児童買春児童ポルノ禁止法〔立法〕以来10年以上負け続けたその先にあった都条例改正で、おそらくその10年とは別の場所から現れた女性たちの名前であの基金が立ち上げられたことに、私はさまざまな意味で感激した。そしてこれこそが「政治」の可能性だと思った。
▽いわゆる表現規制反対派の常套句「リアルの児童ポルノ児童虐待にはもちろん反対ですが〜〜」が、ほとんど初めて、“言い訳” でなくなる可能性。10年以上にわたる政治ごっこにおいてエクスキューズでしかなかった自分たちの言葉を、真剣に正面から受けとめる「表現規制反対派」が現れたこと。
▽それを目にした私たちは、“規制反対派が示すべき「本来あるべき被害児童のための改正案」” を本気で考えられるはずだと思うんだ。 「表現規制反対派」は自分の言葉をどこまで真摯に掲げられるのか、が試されてるのだと思う。可能性の一つをかたちにしてみせた人は、現れたのだから。
▽だからもちろん、これは「代案を作れ」とかそんなくだらない話じゃない。 そうではなく、論点を変更せよ、問題を更新し、議論の場を変容させよ、という話。政治の力の本質の一つは、イシューを設定することなのだし、それによって「勢力図」を、敵/味方の境界線を塗り替えることにあるのだから。
▽〔追記: 代案を提示すること自体が目的なのではない。《問題の「構図」を書き換えること》が目指されなければならない。〕


〔追記: なお、なぜ児童ポルノ禁止法をめぐる論争(それはまさに「実在児童」をめぐる議論である)ではなく、都条例改正問題(それは直接には児童虐待とは無関係な、むしろ「悪書追放運動」や有害図書問題と接続している)において、表現規制反対派による「実在児童の人権擁護基金」が可能になったのか? という問いには、「クレイムのレトリック分析」の観点から接近すべきだと思われる(cf.赤川学『社会問題の社会学』弘文堂)。東京都による「非実在青少年」というタームの提出(レトリックの創出)は、規制反対派の問題空間の認識を、決定的に変えた(が、それはおそらく自覚されていない)。直截に言えば、表現規制反対派は「非実在青少年」の反射としてようやく「実在青少年(実在児童)」をイシューとして“発見”しえたのである。〕
 →▼「実在児童の人権擁護基金」をめぐって。〔2010.12〕 - ilyaの日記 http://d.hatena.ne.jp/ilya/20110110/1294673494


QT @_mo***: これ以上の撤退戦を望まないのであれば、目指すべき方向、というか残された道はそれしかないと思います。 >「論点を、問題そのものを更新してしまう」

▽うん。シンプルな理路だと思うんだ。 俗な言い方をすれば、戦術レベルの政治ごっこでは、議論のフレーム決定っていう戦略レベルの「政治」はひっくり返せない。「リアルの児童虐待児童ポルノは許せません。しかし〜」と前言せざるをえない時点で、表現の自由だけでは現実に勝てない。
▽たぶん構造的には、都条例改正問題〔2010年〕において いわゆる表現規制反対派のほとんどが本質的には規制派の一類型でしかない(にも関わらずそれを理解していない)のと同じなんだと思う。MY氏が〔当時〕即座に喝破したように、ゾーニングを認めるのなら、ことは「線引き」の問題でしかないのに。


QT @_mo***: まさに。そう考えると、件の集会で「表現の自由」が錦の御旗のように扱われていたというのは、たしかにイケてない状況ですね。 >いわゆる表現規制反対派のほとんどが本質的には規制派の一類型でしかない
QT @_mo***: あ、そだ。コン研〔コンテンツ文化研究会〕の広報の方からお詫びのメールが来て、院内集会の資料をPDFでいただきました。(坪井〔節子〕先生と田島〔泰彦〕教授の講演で配布されたもの?)

コンテンツ文化研究会さん、きちんとしてるね。 最初mixiでその前身が立ちあがった時には正直どうなることかとハラハラしたけれど、なんだかうれしい。
▽レジュメは田島さんと坪井さんのもので正しいです(法律の改正案資料と評論コピーが田島さんの資料)。


▽単純に改正案反対の気勢をあげるための集会なら、それでもいいんだろうとは思うし(実際のところあの集会の意図はそれなんだろう)、必要なことでもあるんだろうとは思う。 →QT 件の集会で「表現の自由」が錦の御旗のように扱われていたというのはたしかにイケてない状況
▽でも、それを延々続けて負け続けている現実もまた、いい加減直視すべきだと私は思う。そして、私たちが「リアルの児童虐待児童ポルノは許せません。でも〜〜」と語り始める時、その言葉が他者にどう響いているのかを考え、その言葉にきちんと重みを与えなければ、誰も耳を傾けてはくれないのだ思う。
▽あ。知友(AMIをリアルタイムで見ていた表現規制反対の人です)から驚くべき可能性を指摘されました。 曰く、いわゆる規制反対派は自分たちの戦いが事実上負け続けている退却戦であり、ジリ貧の撤退戦にあることをそもそも認識してないし、理解してないんじゃないの? …と。
▽ショックだったのだけれど、でも、そう指摘されて振り返ってみれば、確かに例えばここ http://d.hatena.ne.jp/ilya/20110110/1294673494 にあるような政治ごっこに興じてる人びとの発言は、いわゆる規制反対派の戦いが現に負け戦としてあることをそもそも認識していないように思われた。


QT @_mo***: 負け戦を続けていることに無自覚な人はあまり居ないのでは。ただ敗因を自らの戦略ミスに求めている人は少なそうです。そういう人は「規制には警察利権が」とか「急進的キリスト教団体の工作が」とか「無関心が」と、外部に理由を求めているのが観測されます。
QT @_mo***: 都条例での敗戦以降「表現の自由」を表立って言わなくなり、「真の児童保護を」と言いたてながら、それが上滑りしているように見えるのは、自分たちの過ちを改めようというのではなく、「俺たちの話が理解できない無関心層に歩み寄ってやる」的な勘違いがあるのでは、と思ったり。
QT @_mo***: 私の物言いが過激なのはツンデレですのでご理解を。
QT @_mo***: そこの、兄さんが「ごっこ遊び」と評することに興じている人たちの語り口は、私から見ると、不利は認識しているがその理由を正しく認めようとしていない姿に写ります。

▽前段(自覚の問題)は保留させて。 後段の観測には説得力を感じます。 →QT @_mon***: 負け戦を続けていることに無自覚な人はあまり居ないのでは。 ただ敗因を自らの戦略ミスに求めている人は少なそうです。そういう人は「規制には警察利権が」とか「急進的キリスト教団体の工作が」とか「無関心が」と、外部に理由を求めているのが観測されます
▽敗因を外部に求めることで、表現の自由をイシューに設定しそこに固執する「政治」とやらの繰り返しこそが(理念的に正しいにもかかわらず)10年以上にわたる退却戦をもたらしている、という事実を見ない。 そうではない議論を理想論、空理空論だ、それでは現実政治に負ける、とか言って黙らせて。
京都精華大の都条例シンポ質疑応答での、こまつばらさん(性被害を研究、被害児童救済にも従事経験あり。だが表現規制には反対)に会場から拍手が起きないのも、多分それだよね。ああいう人の言葉にこそ〔言ってみれば〕政治的な可能性があるのに、「ポルノ表現も被害者の救いでありうる」とか、自分たちに心地よい、都合のよい話ばかり喜んでしまう。
▽あ。もちろん私は、「表現の自由を掲げるな」と言ってるわけじゃないです。それは絶対に必要です(戦後自民党政権時代に野党としての社会党が必要だったのと同じように?)。 でも、10年以上退却の一途にある人が根本的な敗因を見抜けずに十年一日のごとく同じ “政治” とやらを繰り返してるとすれば、それはあまりに無惨です。


▽こちら、おっしゃる通りでした。 劣勢は分かっているけど、その原因が戦略レベルの失敗にあることを見ず、戦術レベルで一基金を利用すればなにか形勢が変わりうる、と夢物語を信じたがってる。 →QT 兄さんが「ごっこ遊び」と評することに興じている人たちの語り口は、私から見ると、不利は認識しているがその理由を正しく認めようとしていない姿に写ります
▽と、前段(負け戦を続けていることへの自覚)を保留させてもらったのは、〔昨年の〕都条例改正で表現の自由をめぐる問題とはじめて向き合った層と、児童買春児童ポルノ禁止法問題の時から状況を知っていた層では、その認識も責任も異なると思うから。同様に認識すべき「負け戦」にも違いがあるんじゃないかな、と。


▽考える。 QT @maskword: 〔それは〕「人を殺す自由が無いなんておかしい」というレベルの暴論。 RT @Fumiaki_Taka: 二次元規制反対で表現の自由を主張しながら、思想・良心の自由に関わる国旗国歌強制反対は冷笑できるやつらが理解できねえ…。

▽負け戦。表現の自由をめぐる撤退戦。 mon***兄が以前に指摘したように、私たちは今まで「表現の自由」という理念のために、自分のいわば「敵」の表現をどれだけ守ろうとしてきたのか、というのはあるように思う。

▽あるいは、ニーメラー牧師の詩を引くいわゆる表現規制反対派に私が吐き気をもよおすように。(何を被害者ぶっているのか? 「共産主義者」の弾圧も「ユダヤ人」の迫害も自分には無関係と見過ごしてきたのが私たちであり、今ここにある現在はその結果ではないのか?)
 →▼彼らが最初共産主義者を攻撃したとき - Wikipedia https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%BD%BC%E3%82%89%E3%81%8C%E6%9C%80%E5%88%9D%E5%85%B1%E7%94%A3%E4%B8%BB%E7%BE%A9%E8%80%85%E3%82%92%E6%94%BB%E6%92%83%E3%81%97%E3%81%9F%E3%81%A8%E3%81%8D

▽「表現の自由」なんて理念、もしかしたら誰も信じていないのかもしれないね。 (いや、そもそも私だって表現の自由に殉ずるほどの覚悟はできてないのだから、言えた義理ではないわけだけど…)


▽たとえば。 「表現の自由」を原理主義的に主張して一切の規制に反対することは、裏を返せば、表現によって生じる被害・損害には「事後救済」でのみ対応する、と主張しているのと同じだと、いわゆる表現規制反対派は自分でわかっているのだろうか。(そして当然、自分自身にも同じルールが適用されるのだと。)
▽それとも、「表現」なんてものはしょせん人畜無害なもので、表現によってかけがえのない何かが失われるようなことは起きえない、事後救済できる程度の損害・被害しか生じえない、その程度のものだとでも思っているのかしら。


QT @_mo***: ああ、ニーメラーの気安すぎる引用には確かに引っかかりを感じますね。漫画はあの詩における「共産主義」ではなく「教会」に近いだろうと。

QT @_mo***: 「表現規制反対派」と十把一絡げにされると何ともいえませんが、少なくとも私は理解していますし、本当はそれが望ましいあり方だと思っていますね。

▽もう、マッチョなんだからっ!(笑) →QT 「表現規制反対派」と十把一絡げにされると何ともいえませんが、少なくとも私は理解していますし、本当はそれが望ましいあり方だと思っていますね。
▽うん、むしろ「教会」に近い。あの詩を引きながら、なぜそれに気づかずにいられるのか。その粗雑さが「俺たちの話が理解できない無関心層に歩み寄ってやる」的な勘違い、を生むのかもしれない。 →QT 漫画はあの詩における「共産主義」ではなく「教会」に近いだろうと。


▼メモ。Twitterタイムライン上〔の反応〕から。

QT ****: でも10年前にその〔表現規制反対派による“実在”被害児童救済運動の〕芽を握りつぶした山口〔貴士〕弁護士は許さないよ。
QT ****: 〔表現規制反対運動は〕ここまでの撤退戦を強いられて防衛戦もジリ貧まで後退してしまった。 〔にもかかわらず、〕ニコ生で〔の、〕ずっ〔と〕表現規制には勝ってきている という言葉で彼の認識がわかる。 とても良く活動しておられるし頭の下がる思いもあるけれど その判断が結局オタクのためである限り〔、子供を児童虐待から守るという(人間として)〕負けられない戦いに負けた時に死ぬ覚悟はあるか問いたい
QT ****: 正直、大多数だった表現〔の自由至上主義〕の信奉者達に対しては呪い続けても呪いたりないくらいの感情を持ってるけれどそういうのも実は関係ない 現実問題としては最後のラインになりうる「落とし所」とやらの致命傷を避けるための最大限の対策を練る