ilyaのノート

いつかどこかでだれかのために。

図書館研究奨励賞受賞:「国立国会図書館におけるポルノグラフィの納本状況」

▼図書館研究奨励賞|日本図書館研究会 http://wwwsoc.nii.ac.jp/nal/award/index.html
「2010年度の奨励賞は、『図書館界』61巻4号(2009年11月発行)に掲載された木川田朱美氏の論文(辻慶太氏との共著)「国立国会図書館におけるポルノグラフィの納本状況」に決定し、2011年2月19日の第52回研究大会の席上で、授与式を執り行いました。」
賞の概要/ 過去2年間の『図書館界』に掲載された論文の中から、優秀な論文1編に奨励賞をさずける。/ 選考対象となる論文は、当該年の3号(9月1日号)からさかのぼって2年間の『界』に発表された論文である。研究奨励賞という性格から若手あるいは中堅の書き手を重視している。/ この賞は故森耕一理事長の基金200万円(1990年4月受理)によるが、現在この基金はその後の有志の寄付で300万円を超えている。1990年度が第1回の選考である。/ 図書館研究奨励賞担当理事が理事会の承認を経て選考委員会(5名)を構成する。選考委員は必ずしも理事である必要はない。研究大会の場で受賞者に賞状と副賞10万円を授ける。/なお奨励賞に該当する論文がないときは、佳作(副賞5万円)を二つの論文にまで出すことができることとなっている。」
▼意見募集(2010年度図書館研究奨励賞)|日本図書館研究会 http://wwwsoc.nii.ac.jp/nal/award/2010-hearing.html
▼2010年度図書館研究奨励賞〔2011.5.1〕|日本図書館研究会 http://www.nal-lib.jp/award/2010.html
筑波大学|お知らせ・情報 受賞・表彰:受賞表彰の記録〔2011.3.9?〕 http://www.tsukuba.ac.jp/update/awards/20110309134949.html
日本図書館研究会2010年度図書館研究奨励賞/ 図書館情報メディア研究科 木川田 朱美」 「(受賞日:2011.02.19)/ 辻慶太准教授(筑波大学図書館情報メディア研究科)指導の図書館情報メディア研究科(博士前期課程)図書館情報メディア専攻2年木川田朱美氏が,学術雑誌「図書館界」掲載の論文「国立国会図書館におけるポルノグラフィの納本状況」(2009年11月刊行)により,2011(平成23)年2月19日,20日に,相愛大学大阪市住之江)で開催された,日本図書館研究会第52回研究大会会期中の19日,図書館研究奨励賞を授与されました。/ この賞は「図書館界」に掲載された過去2年の論文のうち,優秀と認められる1編にのみ与えられるものです。」


▼PDF:つくばリポジトリ (Tulips-R)|国立国会図書館におけるポルノグラフィの納本状況 http://www.tulips.tsukuba.ac.jp/dspace/handle/2241/108157
▼CiNii 論文|国立国会図書館におけるポルノグラフィの納本状況 http://ci.nii.ac.jp/naid/110007819783
▼論文抄録:木川田朱美、辻慶太「国立国会図書館におけるポルノグラフィの納本状況」(『図書館界』61巻4号(2009年11月))日本図書館研究会 http://wwwsoc.nii.ac.jp/nal/kai/v61/kikawada-4a.html
「本稿では,Amazon.co.jpが扱う図書がNDL-OPACでヒットするかを調べる形で国立国会図書館における納本状況を調査し,ポルノグラフィのほとんどが納本されていない現状を明らかにする。/ また,ポルノグラフィを刊行している出版社の納本状況を調査し,一般出版物は納本しているにもかかわらずポルノグラフィだけは納本していないといった結果も提示する。/ さらに国立国会図書館,取次,出版社に聞き取り調査を行い,日本の現行納本制度の運用上における諸問題を考察する。」
当該受賞論文は、web上での無料公開はされていない。上掲アブストラクトのみ無料で読める。 →全文が公開された。(コメント欄に情報をいただきました。拝謝。)


▼PDF:木川田朱美、辻慶太「国立国会図書館における成人向け出版物の納本状況」(2008年度日本図書館情報学会春季研究集会 発表)|つくばリポジトリ(Tulips-R) http://hdl.handle.net/2241/102773
▽受賞論文の母体となった学会発表原稿。全文PDF公開。
▼PDF:KIKAWADA Akemi, TSUJI Keita 'DOES THE NATIONAL DIET LIBRARY HAVE PORNOGRAPHIC BOOKS?'|つくばリポジトリ(Tulips-R) http://www.tulips.tsukuba.ac.jp/dspace/handle/2241/106618
▽英文発表。Asia-Pacific Conference on Library & Information Education & Practice, 2009 での報告。全文PDF公開。
▼PDF:木川田朱美、吉田光男、辻慶太「有害図書データベースの試作と有害図書の分析」(第58回日本図書館情報学会研究大会発表要綱)|つくばリポジトリ(Tulips-R) http://www.tulips.tsukuba.ac.jp/dspace/handle/2241/106618
▼木川田朱美@筑波大学図書館情報メディア研究科のWebサイト http://www.slis.tsukuba.ac.jp/tsujilab/akemi/


国会図書館の蔵書 DVD編〔2009-12-05〕|消費日記@はてな http://d.hatena.ne.jp/yusukem/20091205/p1
▼アングラ・サブカル資料を集める条件としての制度設計〔2009/12/10〕|書物蔵:古本オモシロガリズム http://d.hatena.ne.jp/shomotsubugyo/20091210/p2
▼お部屋1980/図書館の中では見えないこと 9・国会図書館は保存に徹すべし〔2009-11-09〕|ポット出版 http://www.pot.co.jp/matsukuro/20091109_113229493915126.html


▼成人向け図書と国会図書館〔2009年11月27日〕|route127 の日記 http://slashdot.jp/~route127/journal/494473
国立国会図書館におけるポルノグラフィの納本状況〔2011-01-10〕|taronの日記 http://d.hatena.ne.jp/taron/20110110/p8
▼エロ本と国会図書館〔2009-11-28〕|Living, Loving, Thinking http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20091128/1259424766
▼真理がわれらを自由に〔2008年8月23日〕|シードンどう打つ記 http://shiedon.cocolog-nifty.com/blog/2008/08/post_e260.html
国立国会図書館におけるポルノグラフィの納本状況〔2009-11-09〕|tx別館 http://d.hatena.ne.jp/urashinjuku/20091109/p2


▼2010年度図書館研究奨励賞〔2011.5.1〕|日本図書館研究会 http://www.nal-lib.jp/award/2010.html
「2010年度図書館研究奨励賞について/ 受賞者:木川田朱美氏/ 図書館研究奨励賞選考委員会(川崎良孝,塩見 昇,志保田務,松井純子,山本順一)」
「今年度の図書館研究奨励賞の選考もまた,会員に開かれた手続きで進めました。会員からの推薦を考慮に入れつつ,選考委員5名が慎重に検討し,今年度は,「国立国会図書館におけるポルノグラフィの納本状況」(本誌61巻4号,2009.11,p.234−44)を授賞論文と決定し,相愛大学で開催された研究大会の初日2011年2月19日に,著者の木川田朱美さんに対して,川崎良孝理事長から賞状と副賞の10万円が贈られました。」
「選考の過程と授賞理由を記しておきます。今回は,すでに会員にお知らせしましたように10本の論稿を候補として掲げました。うち1本は著者が会費未納で選外に。9本のなかから選んだわけですが,理事会などの場で問題とされたのは,形式が共著論文だったことです。この賞の趣旨は,図書館情報学の若手研究者,図書館現場などの中堅・新進気鋭の職員を励まし,育っていただくためのものですから,原則として若手(イコール年齢ではありません)単独を対象とするべきで,教員との共著(の形式)は望ましくない,との意見が強かったのです。一方で,大学等の研究機関では,外部資金獲得の要請,学際的ないしは広汎かつ難度の高い研究テーマへの取り組みなどから,共同研究が常態となっている部分があります。理工系の研究開発活動では,多くの人たちがかかわるのが普通です。いろいろ議論が出たのですが,学部の卒業研究や修士論文,学位論文をもとにしたり,それにつながる原稿について,今後『図書館界』に投稿される場合には,教員が学生や院生に対して「大きく育て!!」とアドバイスしたりサポートしたりするのは,ある意味で当然の教育サービスでもありますから,できるだけ学生,院生の単著論文として投稿してください。」
「木川田論文は,国立国会図書館法の定めからゆけば,国内で出版された,少なくとも商業出版はすべて納本の義務が課され,全国書誌(データベース)に収載され,国立国会図書館が所蔵しているはずという建前に対して,いわゆるポルノはどうだろうとの疑問に発し,調査研究に取り組んだところに,まずオリジナリティが認められます。アマゾンの販売書誌データベースとNDL‐OPACを突き合わせ,他の主題分野と異なり,ポルノ分野の出版物の多くがNDL‐ OPACに漏れていることを発見されたのです。この発見された事実が生まれる構造を明らかにすべく,国立国会図書館の担当者に聴き取り調査をし,また対象となったポルノ出版社に調査をしようとされましたが,裁判に巻き込まれた1社から回答のメールをもらっただけで,当該出版社はとりあってくれなかったとのことです。いかにもこの国らしいと思います。関係する制度等に対する検討もなされ,論理の展開もそれなりに緻密で,綻びがないように思われます。この手堅い構成も,授賞理由の大きな部分を占めています。」
「授賞された木川田さんが,卒業論文としてこのテーマに一生懸命に取り組んでいたとき,このポルノ調査研究を理由として,つき合われていたボーイフレンドに振られたとの告白には驚くとともに,生物的増殖を運命付けられ,そこに合理性が備わった自然的行動が不可避のはずの存在が内部の欲望の事実に眼を背け,それを肯定することを躊躇するようなオトコについては,「振られてよかったね。奨励賞のほうがはるかに価値がある」と励ましてあげたくなりました。木川田さんのこれからの研究に大いに期待いたします。(この最後の部分は,山本だけの意見で,他の4名は一切関係ありません。)」
「(文責:山本順一 桃山学院大学)/(この報告は『図書館界』63巻1号に掲載)」