ilyaのノート

いつかどこかでだれかのために。

Handley Case #2 (2010年2月)

▽2010年のノート。
 →▼懲役6カ月の「日本の漫画7冊」とは:米国で児童ポルノ法違反〔2010年2月15日〕|WIRED VISION
http://wiredvision.jp/news/201002/2010021523.html
 →▼〔※記事原文〕 ‘Obscene’ U.S. Manga Collector Jailed 6 Months 〔2010.2.12〕| Threat Level | Wired.com
http://www.wired.com/threatlevel/2010/02/obscene-us-manga-collector-jailed-6-months/

「米国のコミック本コレクターが、児童との性交および獣姦の様子を描写した日本のコミック本を輸入・所持したことを認め、懲役6カ月の判決を言い渡された。」
「Christopher Handley〔クリストファー・ハンドリー〕被告は、「児童の性的虐待を視覚的に表現した猥褻物」を所持していた嫌疑について2009年5月に有罪を認めた(日本語版記事)。[2006年に税関職員が、Handley被告宛ての日本からの小包を開梱した際に発覚、告訴された]/ Handley被告は、今年〔2010年〕の2月11日(米国時間)に、アイオワ州で判決(PDF)を言い渡された。」
「40歳〔2010年現在〕のHandley被告は、〔2007年5月に〕児童ポルノ禁止法『2003 Protect Act』の下で起訴されていた。未成年が性的な行為に関わる様子を描写し、「正当な文学、芸術、政治、科学的価値」を欠くマンガや図画、彫刻作品、絵画を禁止する法律だ。容疑者が属するコミュニティの人々が「わいせつ」だと見なすであろう表現物を対象にしている(日本語版記事)。/ Handley被告は、実写による児童ポルノの収集や閲覧という証拠なしで、マンガ本の所持により同法の下で有罪となる米国初の人物となった。」
「Anime News Networkによると、今回問題になったコミック本は以下の7冊だ。[リンクはAmazon.com。各タイトルの末尾にあるのは英語訳]」 「〔1〕『未完成制服少女(ル・コミックス)』(たまちゆき著、東京三世社) [Unfinished School Girl] / 〔2〕『I・DOLL(セラフィンコミックス)』(摩訶不思議著、ヒット出版社) / 〔3〕『獣for essential 3(いずみコミックス)』(月森雅十著、一水社)[THE ANIMAL SEX ANTHOLOGY Vol.3] / 〔4〕『お隣家族(MDコミックス)』(猫玄著、メディアックス)[Neighboring House Family] / 〔5〕『えろもん(セラフィンコミックス)』(摩訶不思議著、ヒット出版社) / 〔6〕『このまん○が凄い!(セラフィンコミックス)』(摩訶不思議著、ヒット出版社)[This Man_ is Awesome!] / 〔7〕『雛迷宮(セラフィンコミックス)』(摩訶不思議著、ヒット出版社)[Doll Labyrinth]」
 →▼はてなブックマーク|懲役6カ月の「日本の漫画7冊」とは:米国で児童ポルノ法違反 | WIRED VISION http://b.hatena.ne.jp/entry/wiredvision.jp/news/201002/2010021523.html


 →▼判決文〔PDF〕
http://www.wired.com/images_blogs/threatlevel/2010/02/sentencingmanga.pdf
「UNITED STATES DISTRICT COURT SOUTHERN District of IOWA」「AO 245B (Rev. 09/08) Judgment in a Criminal Case」「Case Number: 1:07-cr-00030-001/ USM Number: 09085-030」


 →▼日本のマンガを集めていた米国人、児童ポルノ禁止法違反で有罪に〔2009年5月29日〕|WIRED VISION http://wiredvision.jp/news/200905/2009052923.html
▽2009年5月、2件の起訴事実を認める司法取引がおこなわれた時点での分析として、次の日本語ブログ記事がある。

 →▼ハンドリー事件その1】米国司法省発表:ハンドリー、罪状を認める〔2009.05.23〕|Suzacu Late Show http://suzacu.blog42.fc2.com/blog-entry-24.html
「日本からアメリカへ性的虐待描写を含むロリ漫画を取り寄せたのが発覚して起訴されていた米国人クリストファー・ハンドリー〔Christopher Handley〕が〔2009年〕5月20日に司法取引により罪状を認めたことが国司法省の公式発表により明らかとなった。/ この事件はアメリカの児童ポルノ規制法(正確にはUSC第18編第1466条A(b)(1))に基づいて実際に捜索・起訴された事件として注目されていた。」
[1] 事件の経緯/ 2006年5月にハンドリーは児童への性的虐待描写のあるロリ漫画を郵便小包で日本からアメリカへ取り寄せようとした。しかし米国税関(正確には米国移民税関執行局(ICE))の検査で発見された。司法当局の捜査によりアイオワ州の自宅で保管していた猥褻物件も捜索・押収された。翌2007年5月にハンドリーは大陪審により起訴された。/ 〔起訴から2年後の〕本年〔2009年〕5月20日、ハンドリーは司法取引により2件の起訴事実(罪状)を認めた。」
[2] 起訴事実/ ハンドリーが〔罪状を〕認めた2件の起訴事実はこれ。/ A. 起訴事実その1 USC第18編第1466条A(b)(1)により規定される未成年者の露骨な性的行為を描いたあらゆる形態の視覚的表現物の所持/ B. 起訴事実その2 USC第18編第1461,1462条により規定される猥褻物の郵送」
[3] 米国司法省の公式発表/ 最も基本的な資料であるアメリカ司法省による公式発表の全文を省略することなく翻訳する。」

 →▼Iowa Man Pleads Guilty to Possessing Obscene Visual Representations of the Sexual Abuse of Children|the United States Department of Justice http://www.justice.gov/opa/pr/2009/May/09-crm-493.html
[4] ロリ漫画等の単純所持禁止への突破口/ 本事件はいろいろな意味で注目に値する。/ ハンドリーへの判決言渡しの期日がいつになるのかはまだ未定だが〔※2010年2月11日となった。引用者注〕、このまま決着した場合「仮想の未成年キャラクターに対する性的虐待描写を描いた表現物(たとえばロリ漫画・ゲーム)」の単純所持を違法とする判例が確定する可能性が出てきた。/〔中略〕 アメリカにおいて現行法規のままで、仮想の未成年キャラに対する性的虐待を描いたマンガ・ゲーム・フィギュア等の単純所持を違法とすることへの突破口が開かれてしまうかもしれない。」

 →▼ハンドリー事件その2】たった数冊のマンガが人生を狂わす〔2009.05.24〕|Suzacu Late Show http://suzacu.blog42.fc2.com/blog-entry-25.html
[5] ハンドリーのコレクション/ ハンドリーが所持していた漫画・アニメ等の内訳は関係者の証言によれば次の通り。/ マンガ本……1,200冊以上/ DVD,LD,VHS……数百本/ パソコン……7台/ 文書他……数量不明 /所持していた同人誌を含むマンガのジャンルは非常に広い範囲に及んでいた。ただしいわゆる”ロリコン漫画”は彼のコレクションに含まれていない(2008年11月にJennifer Vineyardはロリ物を含むとする記事を発表しているが、この点は否定されるべきだろう)。/ これらのうち違法物件として指定された表現物150〜300件である。これは本やDVDそれ自体の数ではなく、マンガの1コマやDVDの1シーン(5分以下)を基準として算定されている。つまりコレクション全体からすると極めてわずかな比率しか違法物件が含まれていないわけである。」
「数少ない違法とされた物件のひとつがやおいマンガである(題名は不明)。ハンドリーの主任弁護士エリック・チェイスは「露骨なセックス描写が含まれていた。男性はきわめて中性的な外見で描かれているため実際よりずっと若く見える。陰毛がまったく描かれていないのも若く見える一因である。そのため捜査当局はこれを児童の露骨な性的行為を描いた猥褻物と断定したのだろう。しかし実際には彼らは子供ではない」と述べて〔い〕る。/ 裁判記録を見てみると、被告側は上記のやおいマンガに限らず「争点となっているすべての未成年キャラクターは実際には全員成人であり、日本マンガの表現手法ゆえに若く見えるのだ」と主張している。/ 郵便小包に含まれていた「獣姦と女子児童への性的虐待を描いたマンガ」も違法とされた物件のひとつである(これも題名不明)。被告側がこれを未成年キャラクターではないと主張している点はすでに述べた。」
「いずれにしろ捜査当局が児童に関連する猥褻物件を300件以下しか証拠として指定できなかったという事は、ハンドリーのコレクションが(児童ポルノに関する限り)全体として驚くほど健全であったことを意味する。一般的に言って露骨な性描写を数多く含むロリ雑誌やロリ単行本はたった1冊で100〜数百の違法とされる可能性のある描写を含んでいるのだから。」
[6] CBLDFの声明/ CBLDF(Comic Book Legal Defense Fund:コミック司法共助基金とでも訳すべきか)はコミック・マンガにおける表現の自由を守ることを目的として設立されたアメリカの非営利団体である。ハンドリー事件においても事件の初期からハンドリーに対して資金援助を含む裁判活動への支援を行っていた。/ CBLDFは今回の司法取引について自サイトで次のような声明を出した。/ CBLDF Disappointed By Guilty Plea in Handley Manga Case / 2009.05.21 (CBLDF、ハンドリー漫画事件の罪状認否に失望)」

 →▼CBLDF|Press Releases|CBLDF Disappointed By Guilty Plea in Handley Manga Case http://cbldf.org/pr/archives/000390.shtml
 →▼CBLDF Disappointed by Guilty Plea in Handley Manga Case 〔2009-05-21〕|Anime News Network http://www.animenewsnetwork.com/press-release/2009-05-21/cbldf-disappointed-by-guilty-plea-in-handley-manga-case
 →▼Newsarama.com|Handley Pleads Guilty Plea in Manga Case〔2009-05-21〕 http://www.newsarama.com/comics/050921-CBLDF.html
「ハンドリー事件は「仮想の未成年に見えるキャラクター」に法規制の網をかぶせようとする側にとっては勝利といえる結末となった。今後アメリカでこの事件が先例となって類似の摘発が行われるのかどうかは注目である。」

 →▼ハンドリー事件その3】なぜ司法取引に応じたのか?〔2009.05.25〕|Suzacu Late Show http://suzacu.blog42.fc2.com/blog-entry-26.html
[7] 海外での事件に対する反応/ ハンドリー事件に対してアメリカ現地のオタクの関心が高いのは当然だが、他にも高い関心を持っているグループがある。それはアメコミの作者や芸術家・出版業者たちだ。未成年者が主人公でしかも露骨な性表現が含まれるアメコミやヨーロッパコミックは意外にある。下のコメントにも出てくるアラン・ムーアの人気作ロスト・ガールズなどはその代表といえる。/ 芸術家にとっても他人事ではない。芸術作品の商業化がここまで進んでくると古くて新しい問題—芸術作品と猥褻性—がまたまた蒸し返される可能性があるのだから。」
[8] 司法取引の内幕/ハンドリーの怒り/ 引き続きJapanatorのコメント欄より。ハンドリーの家族の知人から重要なコメントが寄せられている。」
「AnimeFried氏のコメントが事実だとすれば(他の情報を参照するとどうやら事実らしい)、ハンドリーとその主任弁護士エリック・チェイス〔Eric Chase〕の間で司法取引に応じるか否かを巡ってかなり確執があったことがうかがえる。事件発生からすでに3年が経過しており、裁判費用の負担もそろそろ限界にきていたのかもしれない。/ いずれにしてもこの事件が控訴されずに結審してしまうのは残念である。上級審でUSC第18編第1466条Aの主要条項が違憲認定されるチャンスだったのにね。」
▽――海外英語サイトへの資料リンクも参考になる。


 →▼「日本のエロ漫画でアメリカの男性が懲役6ヶ月」の海外反応〔2010年02月16日〕|誤訳御免!! http://shirouto.seesaa.net/article/141352863.html
「それでは本題へ行きます。お題は、アメリカの男性が日本からエロ漫画、それもロリコン系のブツを輸入したところ、税関か郵政機関に見つかり押収され、更にはガサ入れを受け裁判沙汰となり、ついに有罪判決が申し渡されたことのニュース記事とそれに対する外国人たちからの反響です。では、興味のある方は続きをどうぞ。:)」
「さて、本題へのリアクションですが、ロリエロ漫画所持とはいえ、誰も傷つけていないハンドリー氏が罪を認め有罪判決を受けたことに、ほぼ全ての人が「これは何かオカシイ」と反発してる様子。アメリカのフリーダムの精神はどこに行ったと嘆いてる人も。まあとにかく、ハンドリー氏を責める人はほとんどいなくて、逆に同情が集まってました。これはちょっと意外だったなと。」
「話題の中心人物であるハンドリー氏ですが、大学時代にアニメに嵌ったことが、こうなってしまった一因なのかもしれない。そのきっかけになった作品が「ロードス島戦記」というのがまた。この作品は管理人も大好きだけど、ロードスと言えば、ディードリット一択でしょうよ。ロリ要素など入る余地はないのに・・・・・・・まあ貧乳属性は(ry 恐らく、ロードスではなくその後に観たアニメのどれかでスイッチが入ったんだろうなあ。」
▽――記事と反響は次の英文サイトから拾われている。

 →▼Christopher Handley Sentenced to 6 Months for 'Obscene' Manga (Updated) 〔2010-02-11〕|Anime News Network
http://www.animenewsnetwork.com/news/2010-02-11/christopher-handley-sentenced-to-6-months-for-obscene-manga
「Each of these volumes of manga, according to court documents, contained minors engaged in sexual acts, sexual abuse on minors from adults, or minors engaged in bestiality. In addition, when law officials searched Handley's home, they seized more than 1,200 items, including manga and other documents. However, most were returned to Handley after they were determined to not "constitute or contain contraband." More than 80 books were retained. Court documents revealed that many of the books retained were from the anthology Comic LO (LO meaning "Lolita Only"). Handley admitted to buying the aforementioned seven books from a place called "cosplay caf醇P," and told officials he had ordered "similar materials earlier from 'Jlist' in Japan and 'Mand[a]rake.com.'"」
 →▼NEWS: Christopher Handley Sentenced to 6 Months for 'Obscene' Manga [1/13]|Forum|Anime News Network http://www.animenewsnetwork.com/bbs/phpBB2/viewtopic.php?t=127593
 →▼Handley sentenced to six months in manga obscenity case | Robot 6 @ Comic Book Resources |Covering Comic Book News and Entertainment
http://robot6.comicbookresources.com/2010/02/handley-sentenced-to-six-months-in-manga-obscenity-case/

 →▼カジ速Full Auto|懲役6カ月になったアメリカのマンガ収集家の日本の変態マンガのほとんどがコミックLOと判明〔2010年02月13日〕 http://www.kajisoku.org/archives/51374493.html http://blog.livedoor.jp/kajisoku/archives/51374493.html
「去年〔2009年〕5月、日本のマンガを集めていたハンドリー氏が児童ポルノ禁止法違反で有罪になった〔※被告が司法取引で有罪(起訴事実)を認めた、とするのが正しい〕件の続報/ 木曜日に懲役6カ月を宣告されました。さらに釈放後は保護観察などがつくようです/ 裁判所文書より判明した、事の発端となった7冊のマンガは以下の通り/また押収された1200冊以上のコレクションのうち、返却されず裁判所に保持されている80冊以上のマンガ/のほとんどはアンソロジーコミックLOだそうです」
▽――ハンドレー氏の所蔵本の「ほとんど」を雑誌「コミックLO」とする記述は典拠不詳。


 →▼国連CEDAW委員会、日本にポルノゲーム・漫画・アニメの販売禁止を勧告〔2009.08.25〕|Suzacu Late Show http://suzacu.blog42.fc2.com/blog-entry-62.html
「本年〔2009年〕8月18日に国連の女子差別撤廃委員会(CEDAW委員会)は日本の報告書に対する最終見解(最終コメント)を公表した。急進的フェミニスト団体イクオリティ・ナウが日本非難の意見書を送付したあの委員会である。/ 最終コメントの内容はかなり雑多だが、本ブログでは表現規制に関係があると思われる部分に的を絞って訳出した。他の内容はすべて省略しているので興味のある方は参考欄の原文をあたってほしい。」

 →▼オランダで獣姦や獣姦ポルノを違法とする法案が可決〔2010年02月04日〕|スラッシュドット・ジャパン http://slashdot.jp/yro/10/02/04/0121244.shtml
「hylomによる 2010年02月04日 11時20分の掲載」「オランダの上院議会で動物との性交や「獣姦ものポルノビデオ」を禁止する法律が可決されたそうだ(Reutersの記事)。/この法律は人間が動物と性交すること自体を禁止するもので、動物が虐待されていない場合も含むという。さらに、これらを撮影したポルノを制作・流通させることも禁じられる。/獣姦はマイナーなジャンルではあるものの、2007年の調査では世界の獣姦ポルノのうち80%がオランダ発という結果だったそうで、獣姦ポルノの主要な提供元の1つが失われることになる、とReuterは伝えている。/ちなみに、以前は動物を虐待しない限り獣姦は合法だったとのこと。」


 →▼Handley Case or Henmaru Machino(2009年5月)|ilyaの日記 http://d.hatena.ne.jp/ilya/20100215/1266246755