ilyaのノート

いつかどこかでだれかのために。

ISBNの拡張あるいはOCR-Bフォントの没落〔2008.3〕

▽ISBNの13桁拡張で何が起きたか、あるいはOCR-Bフォントの没落。

▽かつてISBNが10桁だった時代があった。当時、書籍のコード表示はOCR-Bフォントによって完全に制覇されていた。だが平成十九年正月、13桁ISBNが施行。それに伴う規定変更により、まずバーコード部分以外の日本図書コード表示の書体が自由化され、さらに後には、OCR-Bフォントの(バーコード以外での)使用が事実上禁止された。かくしてOCR-Bフォントの全面支配は崩壊した。

▼FLASHBACK OCR-B FONT
http://www.flashbackj.com/ocr-b/top.htmlhttps://web.archive.org/web/20080221153951/http://www.flashbackj.com/ocr-b/top.html


▽13桁ISBN改定のガイドラインは、「日本図書コード管理センター」の以下のページ。
▼日本図書コード管理センター Japan ISBN Agency
http://www.isbn-center.jp/https://web.archive.org/web/20080215131642/https://www.isbn-center.jp/
→【1】ISBN規格改定のお知らせ 改定ISBNガイドライン :2005年5月
http://www.isbn-center.jp/whatsnew/kikaku.htmlhttps://web.archive.org/web/20080215131654/http://www.isbn-center.jp/whatsnew/kikaku.html
→【2】13桁ISBN“国内標準ガイドライン”追補版 :2006年4月
http://www.isbn-center.jp/whatsnew/guideline060424.htmlhttps://web.archive.org/web/20080215135816/http://www.isbn-center.jp/whatsnew/guideline060424.html
→【3】ISBN規格改定のお知らせ :2007年1月1日
http://www.isbn-center.jp/whatsnew/kikakukaitei.htmlhttps://web.archive.org/web/20080215131706/http://www.isbn-center.jp/whatsnew/kikakukaitei.html
→【4】ISBNコード規格改訂 一部変更のお知らせ :2007年5月30日
http://www.isbn-center.jp/whatsnew/kikakuhenkou.htmlhttps://web.archive.org/web/20080219185436/http://www.isbn-center.jp/whatsnew/kikakuhenkou.html
→ISBN規格改定についてQ&A集
http://www.isbn-center.jp/whatsnew/q&a.htmlhttps://web.archive.org/web/20080125160646/http://www.isbn-center.jp/whatsnew/q&a.html

▽2007年1月1日より、ISBNは頭に「978-」が追加され、「ISBN978-4-出版者記号-未割り当ての書名記号-チェックデジット」の全13桁に変更された。(それ以前の10桁ISBNは、規定上は無効となった。)
▽〔追補:参考〕
▼[三美印刷]■sanbi-i-com|第67回 ISBNコードのしくみと13桁への移行問題 http://www.sanbi.co.jp/sanbihp/sanbiicom/67icom.htmlhttps://web.archive.org/web/20090310075023/https://www.sanbi.co.jp/sanbihp/sanbiicom/67icom.html
▼[三美印刷]■sanbi-i-com|第69回 ISBNコード規格変更問題:その2 http://www.sanbi.co.jp/sanbihp/sanbiicom/69icom.htmlhttps://web.archive.org/web/20130403125006/https://www.sanbi.co.jp/sanbihp/sanbiicom/69icom.html


▼書体の自由化とOCR-Bフォントの没落。
▽当初、2005年5月段階での13桁ISBN表示導入のガイドラインは次のとおりであった。
http://www.isbn-center.jp/whatsnew/kikaku.htmlhttps://web.archive.org/web/20080215131654/http://www.isbn-center.jp/whatsnew/kikaku.html
▽「[表示・記載方法] と [読み取り機器の対応]/ ○改定表示時点から、現在標準化しているISBNコード表4表示のOCR−Bフォントを廃止するが、表示は目視可能な11級以上のサイズ(書体は自由、OCR-Bも可)を標準とする。価格の〓¥いずれも可。/ ○読み取り機器の対応は国際標準の書籍JANコード(EAN)の表示を標準とします。
▽「[スリップ標準仕様] / ○注文カード部分のISBNコードはOCR−Bフォント表示を廃止する。/機器読み取りコードの標準は書籍JANの一段目の表示と、13桁ISBNコードを目視可能な11級以上(書体は自由)で表示する。/ ○売上カード部分は主に出版者が利用するので仕様と表示は自由とする。

▽日本図書コード(ISBN+Cコード+¥本体価格E からなる)表示部分の機械読み取り(光学スキャン認識)を廃止し、バーコード部分の読み取りを標準とするとすることが示されている。これにより、日本図書コードについては、OCR-B書体で表示する必要はなくなり、使用書体は自由化された。なお、機械読み取り対象がバーコードに標準化されるため、注文スリップ等へもバーコード表示が必須になる。
▽「書籍JANコード」は書籍用の2段バーコードのこと。JANは "Japanese Article Number" の、EANは "European Article Number" の略。
JANコードとは :財団法人 流通システム開発センター
http://www.dsri.jp/jan/about_jan.htm
→(archive https://web.archive.org/web/20080214100152/http://www.dsri.jp/jan/about_jan.htm )


▽その後、2006年4月に出された「13桁ISBN“国内標準ガイドライン”追補版」でも、流通現場でのOCR-B文字の光学スキャンは廃止、バーコードスキャンに移行していくことが確認された。
http://www.isbn-center.jp/whatsnew/guideline060424.htmlhttps://web.archive.org/web/20080215135816/http://www.isbn-center.jp/whatsnew/guideline060424.html
▽「なお、規格改定の運用にともない、今後流通で使われるISBNコードの光学機器による読み取りはOCR−Bフォントを2007年刊行の新刊から順次廃止して、バーコード(注)表示による読み取りを標準といたします。したがって本体裏表紙と注文補充スリップの該当部分は書籍専用のバーコード表示が標準になります。

▽ところが13桁への移行実施後。2007年5月の通知ではさらに踏み込んで、OCR-Bフォントを可能な限り使用しないよう、上掲の「ガイドライン追補版」が改訂された。
http://www.isbn-center.jp/whatsnew/kikakuhenkou.htmlhttps://web.archive.org/web/20080219185436/http://www.isbn-center.jp/whatsnew/kikakuhenkou.html
▽「ISBN(日本図書コード)表記についての規定を一部変更します。/ 「13桁のISBN(日本図書コード)の表記については、OCR-Bフォントでの表示を極力さける。」 「【理由】 最新の出版流通過程で、読取に不具合が発生し、システム運用上エラーとなる可能性が高いので出来れば使わない。」「【解説と運用】 13桁のISBN(日本図書コード)の表記については、2007年より機械読み取りをしないことになっています。従って、その表記は目視できれば、書体(フォント)及び字体の大きさ(級数)は自由であるとしましたが、上記理由により、さらなるスムーズな商品流通を図る観点から規定を追加して変更します。

▽これにより、OCR-Bフォントは日本図書コード表示の書体から追放された。(バーコード部分については、OCR-Bが引き続き使用される。)


▽なお、OCR-Bフォント使用の根拠がすでに崩壊しつつあったこと、JAN体制を志向する取次の意向があったことは、Q&Aページから読みとれる。
http://www.isbn-center.jp/whatsnew/q&a.htmlhttps://web.archive.org/web/20080125160646/http://www.isbn-center.jp/whatsnew/q&a.html
▽「Q: 「OCR‐Bフォントコードの機器読み取りシステムは現に使用している業界・業種も極めて限られている」というが、具体的にどんなところで使われているのか。」 「A: 業界レベルでは、もはや全くない。証券類や宝くじなどの特殊な、ごく一部に限られている。
▽「Q: OCR‐Bフォントコードの機器読み取りシステムは、出版業界では今どんなところで使われているのか。実際に使っているところは、書籍JANコードにシフトしたら困らないのか。」 「A: 表紙4の読み取りは、ほとんどの取次・書店が書籍JANコードで行っており、注文スリップも取次は書籍JANコードによる読み取りへのシフトを強く要望(OCR‐Bフォントコードとの両様読み取りも可能)している。もちろん、ハンドスキャナーでOCRを読み取っている書店もあるし、売上カードについては一部出版社ではOCR‐Bフォントコードで読み取っているところもある。仮に売上カードをJANコードにした場合は、一部書店でC以下の読み取りも使っているので2段ユニットを入れて欲しいという要望がある。いずれにしても、何か改革・改善をしようとすればどこかに皺が寄る。この機に、将来を見据え、最小限の負担で改善していく道を探りたい。


▼奥付とISBN。
▽奥付へのISBN記載は必須であるらしい。「13桁ISBN“国内標準ガイドライン”追補版」に次の規定がある。
http://www.isbn-center.jp/whatsnew/guideline060424.htmlhttps://web.archive.org/web/20080215135816/http://www.isbn-center.jp/whatsnew/guideline060424.html
▽「奥付のコード表示/ ・目視できる書体で13桁ISBNコード(4箇所のハイフン必要)の表示が必須です。/ ・分類コードと価格の表示は出版者の自由です。


▼ISBNとドイツ。
http://www.isbn-center.jp/whatsnew/kikaku.htmlhttps://web.archive.org/web/20080215131654/http://www.isbn-center.jp/whatsnew/kikaku.html
▽2004年10月のISBN加盟国総会(ISBN国際年次総会)での決定事項として、国際本部のベルリンからロンドンへの移転、および「2.35年間にわたり、ドイツ連邦共和国国立図書館及びプロイセン財団が負担し、加盟国に費用の分担を求めてこなかった運営費を、今後3年かけて加盟各国が分担する方法に変更する」とある。ちょっとした驚き。ドイツすごい。


▼書誌データの作成および提供 :国立国会図書館
http://www.ndl.go.jp/jp/library/data/japanmarc_isbn.htmlhttps://web.archive.org/web/20071225170001/www.ndl.go.jp/jp/library/data/japanmarc_isbn.html
国立国会図書館の、13桁ISBNへの書誌記入対応。2006年3月までは10桁を記録、4月以降は資料に表記されているISBNをそのまま記録(13桁であれば13桁を)。これは、13桁ISBNに対応したJAPAN/MARC改訂フォーマットのリリースが2006年4月に予定されていたため。