ilyaのノート

いつかどこかでだれかのために。

口蹄疫2010

▽2010年口蹄疫。webクリップ。
▼やまけんの出張食い倒れ日記: 口蹄疫はまったく収まっていないよ!大規模和牛生産をする尾崎畜産の尾崎社長自ら現状を発信する。 おそらくメディアでは採り上げられていないことも含め、インタビューを速攻でアップする。 宮崎からの客人を迎える際にどのようにインタビューの下準備・後処理をしたか。
http://www.yamaken.org/mt/kuidaore/archives/2010/05/post_1518.html
▼やまけんの出張食い倒れ日記: 口蹄疫は全く収まっていないよ! 20km圏内の搬出制限区域からの声・尾崎さんのインタビュー後編です。
http://www.yamaken.org/mt/kuidaore/archives/2010/06/20km.html


▼やまけんの出張食い倒れ日記: 口蹄疫はまったく収まっていないよ!大規模和牛生産をする尾崎畜産の尾崎社長自ら現状を発信する。 おそらくメディアでは採り上げられていないことも含め、インタビューを速攻でアップする。 宮崎からの客人を迎える際にどのようにインタビューの下準備・後処理をしたか。
http://www.yamaken.org/mt/kuidaore/archives/2010/05/post_1518.html
■尾崎さんを取り巻く現状 そしてなぜ僕が外に出ているのかということ」「25年前に結婚したときに繁殖経営を始めた。子牛が生まれたらまず嫁の名前をつけて、この子がお母さん牛になったときに産まれたメスに長女、次に次女、次に三女、こうして4頭の優秀な繁殖牛を得るのに25年かかった。オスは息子の名前をつけた。その、家族の名前を付けた大切な繁殖牛を失うことになった。」
「尾崎畜産には本場(1500頭)と佐土原にある分場(100頭)がある。分場には僕にとって一番重要な妊娠牛達がいる。その分場から8.5kmのところにある養豚農家さんのところで感染が出た。これで分場はワクチン対象となり殺処分となることになった。とても残念だけど、それより問題なのは本場はどうなるの?ということ。/ 本場は分場から遠く離れた立地だけど、農水〔省〕の見解としては「違う敷地であっても、同一経営者の場合は移動の可能性があるので殺処分が望ましい」という見解だった。すぐに農水に問い合わせをして検討した結果、実際の管理者が別であれば問題ないはずということになった。その時僕は営業の仕事で本場にも分場にもいなかったので、この時点で僕自身は分場にも本場にも接触しないということにした。幸い、どちらにも営業マンなどがいるので、申し訳ないけどそのスタッフ達に飼養管理をお願いしている。」
■「ワクチン接種&殺処分は可愛そう」と言っている場合じゃないんだ。」「けれども、口蹄疫を食い止めるためにはこれは仕方がないこと。僕は自分の大切な牛たちにワクチン接種をして、少しでも早くこの事態を終息させないといけないとおもっています。/ワクチンをうった牛は殺処分しないといけない。いままでうたなかったのは、使用すると汚染国になるから。中国・韓国はすでに汚染国。国際的な協定で、清浄国は汚染国からの輸入を断ることができた。けど汚染国になったら、他の汚染国から輸入牛豚肉が来ることになる。断る根拠が無くなる。/だからワクチネーション〔による口蹄疫撲滅〕はすべきだ。/ なぜかというと、日本の畜産は世界のルールをで戦わないといけないのに、ルールを破ったらいかんからよ。/本当に口蹄疫の怖さをわかってるなら、最初に都濃町で発生したときになんで種牛を動かさなかったのかっちゅうこと。たかはるの試験場にも同じ施設があるんだから、そちらに半分でも避難させればよかったと思う。その点では宮崎県にも責任がある。」
■国にも責任があるけど、宮崎県の初動にも問題がある。」「宮崎県の初期動作はよくなかった。口蹄疫が昔〔2000年に〕出たときにはまだよかった。ウイルス〔のタイプ〕が違うと言われている。今回のが本当の口蹄疫と言われている。前回はうちは5km圏内。その時は議員さんが畜産のことをよく知っている人だったから、4000億の予算をとった。社団法人にプールしていた4000億があったから。それを背景に県に対して「どーんと対策をやれ」と言って後押ししてくれた。/そこで県としては、家伝法では20km圏内となっている範囲をを50km圏内に拡大して、徹底的な消毒をした。前回は通行する全車両の消毒をやった。県民もおおごとと思ってくれて協力した。結果、最終的には30億の支出で済んだ。この辺の判断は当時の県が英断をしたと考えている。」
「今回は全然、前回の学習が機能していなかった。/10年前は宮崎の養豚も和牛繁殖・肥育もぽつんぽつんと少なかった。本当は速攻で10km県内の通行封鎖して、殺処分すべきだった。今回の県の初動はやはり認識の甘さがあったと思う。/ 消毒についても国道10号線で徹底的にやるべきだった。僕はここまでおおごとになる前に早い段階で提案をしていた。それは、10号線そのものに消毒ポイントを設けるのではなくて、そこから伸びる幹線の入り口のアスファルトの表面をはがし、そこに消毒液を流し込む。そこを速度を落として通過してくれれば、とりあえずタイヤの消毒はできるわけ。それを提案したところ、国土庁はOKしてくれたのに、なんと宮崎県警が「GW中だから大渋滞する」といって〔その提案を〕停めた。/ それにあの頃風は北に向かっていたので、宮崎方面に来るはずがない。けれども人の流れはでっかい〔総合スーパーの〕イオンがある宮崎市内に来るのは当然。僕は人の動きがウイルスを運んでいると思っている。」
■本当にやらねばならない超法規的措置は埋却地の確保! 現場の農家は罪もないのに苦しんでいる。」「県内の農家はみな自分の圃場周りを消毒している。でも、目の前の道路には消毒していない車がどんどん通る。これはおかしな話よ。」
「県が消毒しろというからやる。ふとみたらエサを食わん豚がいる。家畜保健衛生所に報告にいく。獣医が来て診察し、検体を国に送る。陽性になる。/そうするとFAXが来る。「殺処分対象なので準備しなさい」と。ここからが問題。家伝法〔家畜伝染病予防法〕では、埋却に必要な土地は農家が準備しなければならないとなっている。/けれども、それができない農家はどうすればいいのか?」――cf.「口蹄疫に関する特定家畜伝染病防疫指針(2004年12月): 第1 基本方針/1 殺処分等/(2)」。
「台湾はたったの2週間で蔓延した。それを宮崎では4週間、他地域への発生くいとめている。どれだけみんな頑張って消毒しているのかがわかる。みんな感染させないように買い物にもいかずに頑張っている。/こう言うときに超法規的な措置が必要なんじゃないか?農家に罪や責任があると思いますか?埋却地の確保と同意については国が先頭に立ってやってくれなければ無理です。」
■いま必要なものは冷凍コンテナ そしてボランティアの方への募金。」「最初は味方だった宮崎県民が、敵になっていくのが怖い。/例えば養豚農家からみれば、種牛を残すことを非難している。この気持ちは抑えきれないと思う。だって、養豚農家も種豚を断腸の思いで殺処分している。殺処分は獣医師にしかできないけど、殺処分の最前線にくる獣医師さんの中には、現場に不慣れな人もいる。豚舎に入って豚に注射を打つときに、血管をうまく見つけられなかったり、種豚が大きくて怖いから遠いところからうまく殺処分できず苦しめてしまう。そういうのを泣きながら見ている養豚農家からすれば、〔特別扱いした〕種牛避難の問題は許し難いと思う。/ 個人的には、県が特例措置で6頭を避難させたとき、心の中で感謝をした。けれどももう守れない。これは仕方がないことだと思う。」
「なんで冷凍コンテナが必要か。/実は今、殺処分が2週間くらいずれている。本当は発症して次の日に埋められれば拡がらない。けれども今はそれができていない。二週間は〔発症した〕牛豚がいきている状態。先も述べたように埋却用の土地が入手できなかったりするからだ。/ 問題は、殺処分がくるまでの二週間に子豚が死ぬ。口蹄疫は口などがただれてエサや乳を飲めなくなり、栄養失調で死んでしまうという病気。その子豚が死ぬと埋めるところがない。一頭の豚が10頭以上の子豚を産むから、数が多いわけ。だから、子豚のうえに石灰を播いて放置するしかない。それが数日経つと腐って悪臭が出るそれをカラスが食べて蔓延するのが一番怖い。どこに飛んでいくかと言うことが怖い。/ だから、冷凍コンテナを圏内に5基くらいは配備して、そこで埋却地確保まで、子豚を冷凍保管しなければならないということです。」


▼やまけんの出張食い倒れ日記: 口蹄疫は全く収まっていないよ! 20km圏内の搬出制限区域からの声・尾崎さんのインタビュー後編です。
http://www.yamaken.org/mt/kuidaore/archives/2010/06/20km.html
■リングワクチネーションでとにかく早期に終結させなければ、さらなる悲劇が起こる」「とにかく重要なのは、できるだけここ数週間で封じ込めなければいけないということ。これから夏の暑い時期になって現場の人間がつらいこともあるけど、それ以上に天候が変動するのが怖い梅雨で雨が降る。それを越すと台風が来る。台風なんかきたら、ウイルスが全国へ飛んでしまうのではないかと非常に怖い。九州だけの問題ではなくなってくるだろう。/ 現実的な方法としてはリングワクチネーションで感染拡大を停めなければいけない。これまでは国も県も現場も、力の使い方がうまくいってなかった。ようやく特措法が成立したので、これからはとにかく早く対策を進めて欲しい。」
口蹄疫対策は、各県の単独予算で対応できるような問題じゃない」「対策に使う予算があるよという背景が無ければ、どういう対策を実施しますということが言えるわけがない。宮崎のような貧乏県が費用を用意できるはずがないでしょ。一週間前に首相が対策本部長になって1千億用意したと報道ができたが、よみうりテレビ財務省に確認したら100億という。/うーん なんなのよそれ。 右往左往している。全く機能していない。だから特措法が決まって本当によかった。」
■搬出制限区域の畜産農家たちの悲劇」「さて現場はともかく、/残りの20キロ圏内は搬出制限区域。出荷をしたらダメ。新富にでたから、そこから20km圏内に入るので出荷を止めてくれと言われた。」「搬出制限区域の人たちには、感染しなくとも一日一日経費が発生する。それをどうしたらいいんやというのが心情。本当の悲劇はその辺にある。殺処分のケアだけではなく、ちゅうぶらりんになっているところのケアも本当は考えなければならない。だって、彼らは好んでそういう事態になっているわけではない、法に基づいてそうさせられているのだから。」
■補償は「元の経営ができるようにしてくれ」」「しかも補償の内容もほとんど決まっていない。僕は15億の借金をしているけど、もれきこえてくる査定額でいうと9億しか出せませんねと言っているわけ。ワクチンして埋めたら3年間は何もしたらいかんと言われている。そうしたらどう生きていけばいいのか。うちでは23人現場でも雇用している。」
■現行の家伝法の不備と今後のマニュアル化の重要性。イギリスはウイルスに対テロ組織を投入したのに。」「家伝法は諸外国の法律をとりあえずもってきたようなもの。だから、他国のように広大な面積があることが前提になってるんだ。しかし日本には土地がないんだよ。だから現実的でないということになっているわけ。/ いまから宮崎版マニュアルみたいなのをを作らないといけない。いままでは日本をとりまく海がウイルスを停めてくれていた。でもいまはアジアから観光客が来てる。その靴の裏の泥までは対応できないでしょ。/ ウイルス対人間の戦争なんですよ。イギリスで口蹄疫が発生した場合は、時の首相は対テロ組織を投入したんだよ。だって、イギリスは牛や豚に加えて、綿羊(ウール)とかもあって、もしこれが全滅したら国家予算が成り立たないっていう判断があった。だから、いくらかかっても根絶しないと国が潰れるっていう覚悟でやっている。日本だって、全国に蔓延したらどれだけの国家的損失になるか。/ ちなみに/イギリスの場合は殺処分になった農家には、翌日は補償金の半額が仮渡しされた。だから農家も素直に応じたわけ。日本では再生産できない金額しか出ないとなると、さっきも言ったように動かないよ。だから、。口蹄疫が出たらすぐ報告させるような背景となる金額を出すしかありません。」
■尾崎牛のこれから」「45年やってこれかということになってる。思えばいままで、牛肉自由化、BSEで被った借金がやっと半分になったと思ったら、口蹄疫でまた借金。牛でお金持ちになれん。子供にやれともいえんから、うちは子供に継げと言ってないよ。」
「でも、僕はもう一回チャレンジしようと思っている。宝物のような社員をなんとかしたい。昔、BSEのときには、取引先からキャンセルの電話がかかってきた。/「やっぱり消費者が嫌がるから」ってね。/けど、今回は違うんだ。「早く送ってくれ」と言う。なんでこんな状況なのに買ってくれるの??といったら「当たり前よ」と言ってくれる。うちは肉の作り手・使い手とちゃんと繋がってきたから売ることができた。/復活するのに今回は最悪、3年かかるかもしれないといったら、いまある在庫ぜんぶちょうだいと言われた。3年間、尾崎牛の味を忘れんように、毎日冷凍庫から一切れずつ切って出すと言ってくれる。/ 農家はみんな「あんた達の牛・豚が欲しい」といってくれないとやる気が起きない。もうこんな仕事、やりたくないと思っている。だから心の支援をお願いしたい。」
「宮崎県の半分側に、牛と豚が一頭もいなくなる。これから宮崎県が一番欲しい人材は、この地域で再生産計画を作ることができる人。宮崎のブランド復興をできるだけの人材が欲しいんです。」